腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン<2021>(改訂第3版)

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腰痛などを契機に一般開業医を受診する患者も多い腰椎椎間板ヘルニアに対し,最新の知見を踏まえ患者の症状や希望も考慮して日常診療を行うための指針となるガイドライン.今回の改訂ではMindsの指針に沿って構成・内容を刷新し,発生機序や病態が未だに十分明らかでない本疾患の基本的知識をBQとしてわかりやすくまとめ,診断と治療に直結するCQを厳選して提示した.
【書評】
 腰椎椎間板ヘルニアは、日常診療のなかでも頻度の高い、いわゆるcommon diseaseである。多くの整形外科医師にとって、その診断学や治療法は確立されていると思われるが、それらが単なる経験則でなく、科学的根拠に基づくものかどうかを確認する作業は必要である。また、近年の医学の著しい進歩に伴い、疾患に対する診断や治療は常に変化しており、腰椎椎間板ヘルニアにおいてもその例外ではなく、専門知識については常にup to dateしなければならない。そのなかで、本書が10年ぶりに改訂された。初版は2005年に刊行されており、今回で第3版となる。本改訂作業にあたり膨大な労力と時間を費やされた、波呂浩孝委員長をはじめとする策定委員会の先生方および関係者の方々に、心より敬意を表したい。

 本改訂版では、第2版と同様に、「疫学・自然経過」から始まり、「病態」、「診断」、「治療」、「予後」と続き、これらを通読することで腰椎椎間板ヘルニアを体系的に理解できるようになっている。本改訂は、「Minds診療ガイドライン作成の手引き2014」および「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2017」に準拠して、全部で23のbackground question(BQ)、4つのclinical question(CQ)、1つのfuture research question(FRQ)から構成された。最新の知見による科学的根拠に基づきながらも、エビデンス中心の考え方だけでなく、日本の医療制度に合わせて、医療従事者にも患者にも双方に利益となるよう作成されている。どのquestionも実際の臨床に即して設定されたものであり、BQでは、その要約が最新の基本知識を端的に示しており、CQでは、その推奨度やエビデンスの強さだけでなく、委員の合意率を示すことによって、読者自身のなかでのquestionに対する推奨度を判断できるようになっている。FRQに関しては、本改訂版では「理学療法や代替療法は有用か」というquestionに限られるが、今後さらなるエビデンスが集積され、次回改訂時にはCQとして選定されていることが期待される。そのなかでも、本書の真骨頂は、それぞれのquestionの解説にあり、これまでの腰椎椎間板ヘルニアに対する知の集積がまとめられており、読み物としてもたいへん面白い。本改訂版では、腰椎椎間板ヘルニアの発生に影響を与える遺伝子因子として幾多の疾患感受性多型の報告が取り上げられ、慢性疼痛関連としての薬物治療の選択肢も増え、手術的治療においては、いくつかの費用対効果の報告が取り上げられているのも時代の流れを感じるものである。

 本書は、腰椎椎間板ヘルニアの診断および治療に対する現在の指針であり、医師だけでなく、メディカルスタッフや患者に対しても本疾患に関する最新の知識を提供し、円滑に整形外科診療が行われる一助となるものであろう。また、整形外科専門医にとっては、本ガイドラインを基本として、自分自身のこれまでの経験や、それぞれの患者背景を加味した

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