平城京・正倉院宝物・国分寺など、はなやかな天平文化の中心にあったのが聖武天皇である。日本の歴史を人の一生にたとえると、奈良時代は青春期にあたるといわれる。律令という骨格が形成されつつあり、目標に向かって必死の努力を続け、若者としての悩みや挫折を繰り返しながらも成長してゆく清新な時期で、それを象徴するのが天平文化だと。聖武天皇自身の前半生はそれにふさわしい歩みとみることもできるが、晩年になると、さまざまな苦悩が重なり、自信を失い、ひたすら仏教に没入してゆくことになる。奈良時代を代表する天皇の人物像を、時々の言葉とともに描く。