実存思想は客観的真理や体系的世界観と対立する。その対立は、真の客観性や体系性が歪められることに対する主体的人間の側からの抗議である。思想が客観性の名のもとに傍観者的にあつかわれることへの対決を実存が迫るのである。人間が置き去りにされたありかたに対して、各人それぞれの生活のなかで意義をもてるように観察や思考がおこなわれることをそれは要求する。実存思想はそれゆえ思弁的観想的でなく行動的生活的であり、客観的認識の分野を単独の人間の全体性のなかで回復し、単独者がそれによって生きかつ死にうるような理念を認めたばあいにその真理を単独者に生きさせるエネルギー源をそなえる思想である。